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「Claris 技術者試験」ガイド - 概要編 -

みなさん、「Claris 技術者試験」についてご存じですか?「試験」と聞くと、つい身構えてしまう方も多いかもしれませんね。実は筆者も同じです。

このブログでは、Claris があえて「試験」を実施する目的やその内容についてご説明いたします。「Claris 技術者試験」を既に知っている方も、初めて耳にする方も、みなさん一緒に確認してみましょう。そして、この試験を通じて得られる現在と未来についても一緒に探ってみませんか?

今回の旅路:

  • 「Claris 技術者試験」とは?
  • Claris 技術者試験の種類
  • Claris 技術者試験の受験方法
  • 各試験の試験範囲(知識分野と学習目標)
  • Claris 技術者試験に合格したら
  • さらに耳寄り情報!
  • おわりに

1.「Claris 技術者試験」とは?

今回の旅を始める前に、まずは「Claris 技術者試験」がどのようなものかを確認しましょう。

まず、Claris 製品を活用してくださっているみなさんは、ご自身の知識やスキルをどのように確認していますか? またそれを上司や同僚にどのように証明していますか?

技術者として働く上で、自分の実力を第三者に証明することは決して容易なことではありません。自分がどれだけ優れた能力を持っていても、それを具体的に示す手段がなければ、他人にその価値を理解してもらうのは難しいのが現実です。

そこで、「Claris 技術者試験」です。この試験は、Claris 製品を活用する技術者の知識とスキルを客観的に証明することを目的としています。つまり、この試験に合格することで、自分の技術力のレベルを示すことができ、他人に対して自分の能力を証明するための有力な証拠とすることができます。

試験は、ピアソンVUE の CBT(Computer Based Testing)サービスを利用して行われます。CBT はコンピュータを使ってテストを受ける形式で、ご自身の都合のよい時間に試験を受けることができます。また、試験結果が表示され、レポートとして持って帰ることができるので、即時に自分の実力と弱みを知ることができます。

この Claris 技術者試験は、2024 年 9 月から日本で独自に開始されました。これは、それまで実施されていた「Developer Essentials for Claris FileMaker 資格認定試験」(通称「FileMaker 認定試験」)が 2023 年末に廃止されたことを受けたものです。新しい試験の開始に伴い、受験者は引き続き、スキルの維持と新しい能力の獲得に向けた取り組みを続けることができるようになりました。

試験を受けることは、技術者としての自分の位置を確認し、また新たな目標を設定する機会にもなります。どんな試験も挑戦であり、自己成長の一歩になります。これからのセクションで「Claris 技術者試験」について詳しく説明していきますので、一緒に頑張りましょう!

なお、Claris 技術者試験に関する情報は Claris の公式サイトにぎゅっと集約されていますので、合わせて参照してください。

2. Claris 技術者試験の種類

Claris 技術者試験には現在、FileMaker 技術者のレベルと役割に応じて、以下の 4 つの試験があります。

  • Claris FileMaker 技術者試験 Basic Developer (CFBD-1-2024)
  • Claris FileMaker 技術者試験 Advanced Developer (CFAD-2-2024)
  • Claris FileMaker 技術者試験 Expert Developer (CFED-3-2024)
  • Claris FileMaker 技術者試験 System Admin (CFSA-4-2024)

各試験名の末尾の試験記号末尾の「2024」は、現行の試験が 2024 年度版であることを示しています。

では、それぞれの試験について簡単に見ていきましょう。

まず、「Basic Developer (CFBD-1)」です。これは、FileMaker について全般的な学習を終えた初級技術者向けの試験です。先輩の指導を受けながら、自分だけのカスタム App を作ることができるレベルの技術者が対象となります。

次に、「Advanced Developer (CFAD-2)」。こちらは、一段階スキルアップして、一定のカスタム App 開発経験を持つ技術者を対象としています。職場で共有して自分以外の人も使えるカスタム App を開発できる程度のレベルの能力を確認する試験です。

さらに上級者向けの「Expert Developer (CFED-3)」は、プロフェッショナルとしてさまざまな状況や場面で適切に課題を解決できるカスタム App を開発およびメンテナンスができるレベルの技術者が対象となります。

最後の「System Admin (CFSA-4)」は上記 3 つの試験とは少し観点が違っていて、カスタム App を開発するスキルではなく、開発したカスタム App をサーバーを使って複数人で共有する仕組みを作ったり、カスタム App を他システムと連携させたりするスキルについての試験です。

これらの 4 つの試験は、FileMaker プラットフォームに関して、それぞれ異なるレベルと役割の技術者を対象としており、みなさんのキャリアを次のレベルに引き上げるための重要な道しるべとなっています。

ビギナーズ&ジュニアズのみなさんは、まずは Basic から順番に、着実に足元を固めていくとよいですね!

3. Claris 技術者試験の受験方法

Claris 技術者試験は、みなさんがどこにいても受験できるように、2 つの形式で提供されています。1 つは、ピアソンVUE テストセンターでの受験、もう 1 つは、自宅で受けられる OnVUE オンライン監督試験です。

ピアソンVUE テストセンターで受ける場合は、試験の日時を予約し、指定の場所に行って試験を受けます。一方、OnVUE (オンライン監督試験)では、自宅やオフィスなど、自分が選んだ場所で、自分の都合のよい時間に試験を受けることができます。これは、遠隔地に住んでいる方や、忙しくて試験センターに行く時間がない方にとっては非常に便利な選択肢です。実際、早朝にこっそり受験して合格してから出勤している方(← 心の中でスキップしているに違いない)もいらっしゃいますよ!

詳しい受験方法については、「Claris 技術者試験」の公式サイトや、ピアソンVUE のプログラムページを参照してください。ここには、試験の申し込み方法、受験の流れ、必要な準備など、試験に関する全ての情報が詳細に記載されていますので、受験前にぜひご確認ください。

4. 各試験の試験範囲(知識分野と学習目標)

試験を受ける前に、何を学習すべきか、どの範囲をカバーする必要があるのかを知ることはキホン中のキホンですよね!

Claris 技術者試験では、各試験ごとに「学習目標」が設定されており、これを学習の指針にすることができます。

学習目標は、Claris FileMaker に関する知識を「知識分野」ごとに分類したときの、それぞれの分野で押さえておくべき学習内容を示しています。同じ知識分野でも、試験によって目標のレベルが異なるので、自分が受ける試験に対してどんな知識を整理しておくべきかを確認する際の参考にもなります。

CFBD-1、CFAD-2、CFED-3 の知識分野と学習目標

CFBD-1、CFAD-2、CFED-3 の 3 つの試験は、FileMaker カスタム App の開発に関する共通の知識分野をベースとしています。これらの知識分野は 8 つのカテゴリーに分類されており、例えば、「FileMaker Pro の基礎」や「レコードの検索とソート」、「カスタム App の作成」などが含まれています。

Claris FileMaker 技術者試験(CFBD-1、CFAD-2、CFED-3)の知識分野(部分)

これらの知識分野はさらにいくつかのトピックに分割され、それぞれのトピックに具体的な学習目標が設定されています。ここで重要なのは、同じトピックでも試験のレベルごとに異なる学習目標が設定されていることです。例えば、「カスタム App の作成」の中の「データベースの定義」というトピックでは、3つの試験それぞれで次のように異なる学習目標が設定されています。

また、各学習目標には「キーワード例」が記載されています。例えば、上記 3 つの学習目標にはそれぞれ、以下のキーワードが挙げられています。

「キーワード例」はその名の通り、あくまで「例」ですが、自分が受ける試験のキーワードについて、しっかり説明できるようにしておくことが望ましいですね。

なお、当然ながら上位レベルの試験は下位レベルの試験の学習目標も含まれることに注意してください。つまり、CFAD-2 には CFBD-1 の学習目標が、また CFED-3 には CFBD-1 および CFAD-2 の学習目標も含まれます。どの試験を受ける場合でも、着実な知識の積み重ねが重要ですね。

CFSA-4 の知識分野と学習目標

CFSA-4 の試験は、他の 3 つの試験とは異なる 7 つの知識分野が設定されています。こちらでは、主にサーバー製品(Claris FileMaker Server および Claris FileMaker Cloud)の設定や運用、外部認証、外部連携などについてトピックが挙げられ、それぞれについて学習目標が設定されています。

「学習ガイド」の利用

Claris 技術者試験に挑戦するみなさんには、試験ごとの「学習ガイド」が用意されています。これらのガイドは、公式サイトから簡単にダウンロードできます。

学習ガイドには、試験範囲に対応する知識分野や試験準備のためのリソース(参考資料)の例が詳しく記載されています。また、各知識分野ごとの学習目標や例題も含まれており、試験対策に役立つこと間違いなしです。特に、例題は実際の試験とほぼ同じ形式(多肢選択)になっているため、どのような問題がどんなふうに出題されるかを事前に知ることができ、試験自体に慣れるのにとても役立ちます。

学習ガイドの一部(CFBD-1)

公式サイトからダウンロードした圧縮ファイルには、すべての試験の学習目標を知識分野ごとにまとめたマトリックス形式のスプレッドシートも同梱されています。これを活用することで、効率的に学習を進められるでしょう。

各試験の知識分野と学習目標は、言わば試験に合格した技術者が持っているスキルを証明するものです。これは、受験者が目指すべき技術者像を示しているとも言えます。試験を通じて、あなたのスキルを明確にし、目指す姿を具体的に描いていきましょう!

5. Claris 技術者試験に合格したら

おめでとうございます!Claris 技術者試験に合格することは、あなたの技術者としての価値を大きく高める素晴らしいステップです。さらに、試験に合格すると、Credly からデジタルバッジが発行されます。このデジタルバッジを通して、あなたの専門知識とスキルをデジタル上で証明できるようになります。Credly デジタルバッジは、オンラインプロフィールや履歴書に追加することで、上司やクライアントに対してあなたの技術力を効果的にアピールするのに役立ちます。

また、Claris のサイトで合格者登録を行うと特製ピンバッジが進呈されます。さらに、4つの試験すべてに合格した場合にはコンプリート記念品(4 種のピンバッジ柄のキーホルダーとアクリル枡)も追加で進呈されます。これらをさりげなく持ち歩いたりデスクに飾っておいたりすることで、あなたの努力と実力を周囲の人々にも伝えることができますね。

試験ごとの特製ピンバッジ(左)と 4 試験合格記念品(右)

なお、特製ピンバッジおよびコンプリート記念品は、Claris の専用サイトで合格者登録をしないと発送できません。合格したのにまだピンバッジが来ないな、という方は、合格者登録をしたかどうか、もう一度思い出してください(思い出せない方はもう一度登録してくださっても構いません)。

6. さらに耳寄り情報!

Claris Web セミナー「挑戦する開発者たち 〜 Claris 技術者試験合格が拓く未来」録画公開中(2025 年 11 月 19 日開催)

Claris 技術者試験は、FileMaker ビギナーズやジュニアズだけでなく、多くのプロフェッショナルが挑戦する試験です。これまでに延べ 800 人以上が受験しており、徐々にその重要性が広まっています。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、先日、Claris の公式トレーニング「FileMaker Training」のトレーナー 3 名が自身の受験体験を語る Claris Web セミナーが開催されました。このセミナーは録画が公開されており、いつでもご覧いただけます。

この Web セミナーはパネルディスカッション形式で行われ、パネリストのみなさんそれぞれが、試験に挑戦した動機、効果的な学習方法、そして合格後の変化について、熱いトークを交わされました。

これから受験を考えている Claris FileMaker 開発者のみなさんや、部下に受験を勧めたい上司、経営者、教育者のみなさまに特にお勧めです。Claris 技術者試験がもたらす具体的なメリットや、受験に向けた実践的なヒントを得るために、ライブでご覧になれなかった方はぜひ録画を確認してみてください。

録画はこちら

「リテイクチャレンジ」キャンペーン

Claris では、Claris FileMaker 技術者試験にチャレンジされたものの、不本意ながら不合格となった方を対象に、再挑戦を応援する「リテイクチャレンジ」キャンペーンを実施します。対象者は、2025 年 11 月 30 日までに対象試験を 1 回以上受験し、2025 年 12 月 1 日時点でまだ合格されていない方です。

対象者には、Claris より「受験料 30 % オフ」のプロモーションコードをお送りします。プロモーションコードを使った試験バウチャーの購入期限は 2026 年 1 月 30 日までですので、プロモーションコードを受け取った方はお早めに!

詳しくは、こちらのページを参照してください

7. おわりに

このブログでは、これまでに Claris 技術者試験の概要についてご紹介してきました。次回は、各試験の受験状況や合格者と不合格者の違い、さらには受験勉強のヒントなど、試験の表側と裏側を深掘りしていきたいと思います。

それでは、次もなんとなく楽しみにしてくださっていると嬉しいです。ciao!