事例

全社員 iPhone ユーザだからこそ加速する DX

あれから 6 か月…...次にリリースした iPhone アプリとは?

沖縄電力の 100 %子会社で、県内有数のシステムインテグレーターである沖電グローバルシステムズ株式会社。同社の取組みについては 2022 年 9 月に当ブログでも紹介している。

同社は「お客様に対しては完成されたシステムを納品する一方で、自社内のプロジェクト管理や採算管理業務には表計算ソフトを利用している」というシステム開発会社にありがちな古き習慣を脱し、案件登録、工数設定、収支・稼働率計算の機能を有する工数管理プロジェクトを Claris FileMaker で管理し、3 日がかりの業務をわずか数秒に短縮した実績を持つ。

同社の情報システムグループリーダーで、DX 推進チームの推進役を務める 仲間氏は、Microsoft Access、Java、JavaScript などの開発経験がありながら、Claris FileMaker によるアプリ開発に踏み切った、社内 DX の立役者である。

「業務は都度変わり続けるため、従来の開発言語ではその変化に追い付くことができません。なので、当社でも必要な場面で修正が容易なローコード開発プラットフォーム Claris FileMaker を採用しています。 2022 年から全社員が利用できるサイトライセンスに切り替えました。どれだけ使っても追加料金がかかるわけではないですから、新しい取組みも積極的に行えます」と仲間氏。

前回の取材からわずか 6 か月で、すでに新しいアプリを開発して本番運用を開始。現場担当者の反響も良く、早くも手応えを感じているという。

棚卸しの概念を覆すアプリ開発

企画総務部で情報システムグループ係長 兼 DX 推進チームに所属する 伊波氏は、

「当社は、IT システムをお客様に提供する会社ですので、社員 300 余名に対し、在庫管理対象機器は周辺機器をあわせて 1,600 台以上になります。個人に紐づく機器もあれば、共用で貸し出しする機器もあります。これまでは各端末に管理 ID を QRコード* にして貼り付け、Excel をベースにして機器の管理をしていました。少しでも棚卸し業務を効率化するため、QRコードには端末 ID と一緒に総務宛ての E メールアドレスを記録してあり、機器と所有者の紐付けと証跡を残す目的で E メールを送信していました。それでも、今までの棚卸し作業は、業務の合間を縫って 2 人の担当者が物品を探したりして 2 か月近くかけて作業をしていました」

と昨年の状況を振り返る。

実際に QRコードを読み込むと、下記のような内容が含まれている。

  • MAILTO: dummy@okiden-gs.co.jp_
  • BODY: 情報-12-34567

「とはいえ、借用者の意識の問題と QRコードを読んでメール送信する手間もあり、またコロナ禍でテレワークとなりモノの移動が当たり前になってくると、申請がリアルタイムに実行されないこともありました。そこで取り組んだのが『持ち主に管理してもらおう』というコンセプトの、 iPhone でアプリを起動し読み取るだけの、お手軽アプリの開発です」と仲間氏。

実際の端末に貼られている QR コードと情報番号シール

「棚卸し確認作業はもう不要になりました」

「今回のアプリは、棚卸し 3 秒です。Claris FileMaker Go を起動する iPhone 側の ID を取得して読み込ませていますので、アプリを立ち上げて QRコードを読み込めば、誰が、いつ、どの機器を借用しているかは自動的に記録されています。もちろん E メールも送信する必要はなくなりました。アプリでは各社員に紐付いた端末のリストとその棚卸し日も確認できるので、これまでのように棚卸しの担当者が拠点を回ってどの端末がどこにあるかを確認する必要もなくなります。2 か月近くかけていた棚卸し業務はもうありません」と伊波氏はアプリの完成度に満足している。

iPhone でアプリの動作検証をしながら開発テストをできるのが FileMakerの魅力だ

新たな挑戦は続く

「当社の FileMaker の機能実装にあたり、Claris 認定パートナー 合同会社イボルブ の 八木さんにはさまざまなアイデアをいただいています。例えば、iPhone のセンサー情報を FileMaker 側で取得できるので 、位置情報、距離、速度、歩数なども計測できます。現在実装するかは未定ですが、FileMaker ですからリリースした後にアプリをアップデートすることも簡単ですので、棚卸し中、 QRコードを読み込んだ際に位置情報を取得し、機材の所在地情報を自動記録するという機能を実装することも可能です。

また現在、人事労務グループで使う派遣管理台帳を Excel で管理していますが、作業に時間がかかっていますので、FileMaker 側で管理できるようアプリ開発する予定です。他にも、テレワーク時のリモート出退勤管理アプリや、全員 iPhone を持っていますので、歩数情報をもとにした社員の健康管理などに役立つアプリにも挑戦してみたい。サイトライセンスですので、派遣管理アプリなどを追加で作っても費用がかかるわけではありませんので、どんどんいろんなことに挑戦してみたいです」と仲間氏と伊波氏は今後の新しいアプリ開発に意欲を示した。

沖電グローバルシステムズでのアプリ内製化支援のアドバイザリーを務めるイボルブの八木氏は、「沖電グローバルシステムズ様では新しい機能を積極的に試し、アイデアを形にする企業文化があります。お客様に新しい IT サービスを提供するには、まずは自社で利用してこそその良し悪しがわかるというものです。これから内製化されたアプリやノウハウを外販して、より沖縄の企業の業務効率化ができることに期待しています」と語る。

新しい構想に夢を膨らませる 仲間 哲博氏(右)と伊波 彰太氏(左)

【編集後記】

前回の記事では、表計算ソフトで 3 日かかった工数管理の分析や役員へのレポート作成がわずか数秒で終わった例を紹介した。今回は、2 人で 2 か月かけていた機器の棚卸は、日々の業務に取り込まれ、やはり数秒で終わった例を見てもらった。ローコード開発のメリットに、「開発速度の向上」「開発コストの削減」というものがあるが、沖電グローバルシステムズの場合はアプリ開発に着手する際、「根本的なコンセプト(実現の仕方)の見直し」をしている。これも業務改善をするにあたっての重要な要素であり、ローコード開発プロジェクトの副産物とも言える。沖縄県を代表するシステムインテグレーターである沖電グローバルシステムズ株式会社が開発する次のアプリは何が飛び出してくるのか? 今後の一手に期待が膨らむ。

*QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。