FILEMAKER

Claris FileMaker - 日本に特化した機能あれこれ

Claris FileMaker は Apple Inc. 100% 子会社の Claris International Inc. がアメリカを拠点として開発している、いわゆる外資系のソフトウェアです。クライアントアプリケーションである Claris FileMaker Pro は 11 言語(日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スウェーデン語、オランダ語、スペイン語、中国語 (簡体字)、韓国語、およびポルトガル語 (ブラジル))に対応してグローバルに販売されています。

そんな FileMaker ですが、実はグローバルの売上に占める日本の売上比率は約 25 %と、一国の売上としてはアメリカに次ぐ第 2 位なんです( 2022 年 7 月時点)。それだけ日本のユーザのみなさまにご利用いただいている理由の 1 つとして、日本に特化した様々な機能が用意されている、という点が挙げられます。ここではそれらの一部をご紹介します。実は知らなかった機能もあるかも?!

和暦

「昭和歌謡曲」「平成生まれ」と、言葉を聞くだけで年代を思い出せる日本人には便利な和暦。特に官公庁、自治体、教育機関などは、和暦とは切っても切れない関係があるのではないでしょうか。このブログ執筆時点は令和四年ですが「平成」から「令和」に変わる 4 年前というのは新元号に対応すべくシステム対応に追われるということがニュースになりました。Claris 製品も同じくこの新元号に対応すべくリリース準備が行われました。漢字二文字の元号以外にも英字略称(昭和は s、平成は h)が何になるのか?を予想していたのが懐かしく思い出されます。

FileMaker Pro は標準機能として現行の和暦に対応しているので、西暦の日付から和暦への変換も書式設定のプルダウン一つ選ぶだけです。ノーコードで設定できます。

逆方向の「和暦から西暦」にも対応しているので日付形式のフィールドに「r1/5/1」と入力すると「2019/05/01」と変換してくれます。和暦に対応していても日付形式のデータは西暦 4 桁の日付として持っているので複雑な計算も安心です。

データの書式設定で和暦や曜日の表示も自由自在

曜日

日付形式のフィールドでは「月曜日」や「月」というように漢字で記載した曜日も扱うことができます。これを利用すると、「月…金」と入力して検索することで平日のデータが検索できます。ただし、平日と言っても祝日の情報は毎年変動するものであり、ここでは含まれておりませんのでご注意ください。

FileMaker の検索結果は条件に合致した「対象レコード」と条件に合致しなかった「対象外のレコード」を簡単に反転できます。「対象外のレコード」は土曜日または日曜日なので一般的な休日のデータということが言えます。同じ範囲検索の方法を使い「土…日」と入力して検索することもできます。

ひらがな、カタカナ、全角、半角

一般的に、日本語で扱う文章は漢字、ひらがな、カタカナ、英数字などを組み合わせて記述します。また、カタカナと英数字は全角と半角を使い分けることもあります。FileMaker では、こういった点にも配慮されており、「ひらがな ←→ カタカナ」「全角カタカナ ←→ 半角カタカナ」「全角英数字 ←→ 半角英数字」の変換が簡単にできるような関数が最初から用意されています。

ふりがな

会員登録や申込書など住所や氏名を記述するところには正しい読み方を知るためにふりがなを記入することがよくありますよね。FileMaker にも、フィールドに入力した漢字からふりがなを自動生成する機能や関数が準備されています。この機能を利用するとふりがなを自動入力してくれるのでわざわざ手入力する必要がありません。

ただ、注意すべき点もあります。この機能は入力した漢字から OS によって判定されたふりがなを返すので、入力した内容とは必ずしも一致するとは限りません。例えば、「神戸」という漢字の一番有名な読み方は兵庫県の「こうべ」市ですが、岐阜県には同じ漢字で「ごうど」町と読む地名があります。この場合、FileMaker のふりがな機能では「ごうど」と入力・変換しても「こうべ」が入力されます。「北海道」「東京」のように他の読み方がほとんど無い漢字はそのまま利用できますが、入力時は人の目による確認を忘れないようにしましょう。

フィールドオプションの設定でふりがなを設定できます

漢数字

ハガキの宛先を縦書きする場合は番地に漢数字を利用することがあります。また、香典や祝儀袋などに金額を記載する場合は漢数字を利用するのがマナーという記事がネット検索すると出てきます。いざ旧字体の漢数字となると普段使用していないのでなかなか書けないものです。

NumToJText 関数を使用するとアラビア数字(0〜9)を漢数字、旧字体の漢数字(壱弐参)に変換したり、3 桁ごとにセパレータ、億や万というセパレータをつけた文字列に簡単に変換できます。地味な機能ではありますが……作り込むとなると結構大変なのでシーンによっては非常に便利ですね。

セパレータと文字種を変えることで様々な形式に対応できます

縦書き

文章を縦に表示させるというのも日本語の特徴の一つです。FileMaker は用紙サイズに合わせて自由自在に帳票レイアウトを作成できるので宛名印字に用いられることも多くこの縦書きに対応しています。ハガキや封筒だけでなく賞状なども印字できます。縦書きは FileMaker Pro の macOS と Windows のみの対応となり、Claris FileMaker Go、Claris FileMaker WebDirect は対応しませんのでご注意ください。

縦書きに加えフォントも自由に設定ができます

ゆるやかな検索

「バッグ」と「バック」、「ベッド」と「ベット」のように意味は通じるけど曖昧な表現ができる言葉があります。データベースを検索するときは「条件に合致したものを探し出す」というのが本来の目的ですが「曖昧な言葉も一緒に探してほしい」という時に使えるのが「ゆるやかな検索」です。これも日本語のみの機能です。

「〜」記号を先頭に入れて検索することで、ひらがな/カタカナ、濁点/半濁点/濁点なしなどを同時に検索することができます。

詳しくは Claris FileMaker Pro 19 ヘルプの「レコード内のテキストの検索」をご確認ください。

https://help.claris.com/ja/pro-help/content/finding-text.html

実は大事なメモ

今回の本題からは逸れますが、先ほどの Claris FileMaker Pro 19 ヘルプには「メモ」という補足の文章があります。「メモ」と聞くと大事なことという認識が薄いですが実はこの「メモ」には大事なことが書いてあることが多々あります。

今回の「レコード内のテキストの検索」にはこのような「メモ」がありました。

FileMaker を長く利用されている方でも「へー」ということが書いてあったりしますので開発時にはヘルプもチェックしましょう!

「FileMaker は海外の製品だから日本では使いにくい」なんてことはありませんので、まずは 45 日間無料で体験できる評価版をぜひお試しください。

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