FILEMAKER

Claris FileMaker 19.5 リリース

2022 年 6 月 16 日に Claris FileMaker プラットフォーム 19.5.1 が、2022 年 7 月 14 日に 19.5.2 がリリースされました。パフォーマンス、安定性、セキュリティがこれまでで最も強化された Claris の最新リリースをチェックしましょう。

Claris FileMaker Pro 19.5

Claris FileMaker の中でも、開発者の方が一番長い時間使うことになるのは FileMaker Pro でしょう。新機能や変更によって新しい技術を簡単に取り入れることができるのでワクワクしますよね。その中でも開発者が簡単な操作で複雑な処理を作成できるのは多くの関数やスクリプトステップが提供されているためです。FileMaker Pro 19.5 では新たに 3 つの関数が増え 327 種類、スクリプトステップは 183 種類になりました。この中から一つ、今回新たに追加された GetLiveText 関数についてご紹介します。

GetLiveText 関数

ヘルプを見ると「テキスト認識アルゴリズムを使用して指定したオブジェクトフィールドの画像内にあるテキストを返します。」とありますが要約すると「画像からの文字認識」です。

この関数のベースとなっている技術は iOS、iPadOS で利用可能な「テキスト認識表示」です。

スゴイ技術ですが関数の使い方はとても簡単!この一文だけです。

GetLiveText (オブジェクト ; 言語)

言語の指定があることからおわかりの通り、対応言語が決まっています。現在は英語を始めとする 7 種類のみとなりこの中に日本語は含まれていません。先日行われたWWDC 2022 では次期 iOS/iPadOS 16 では日本語がサポートされるという発表がありましたので今後に期待です。

実際に試してみましょう。

GetLiveText ( 写真 ; "en-US" )

AirPods Pro 外箱の側面に書いてある文字を認識させてみました。活字体で他に余分な文字がなかったので綺麗に認識できました。曲面、装飾されたロゴや手書き文字だと認識率が下がってしまいますのでまずはお手元にある物を使ってお試しください。

GetLiveText 関数の実行例

難しい技術でも FileMaker Pro の関数を使うことで自分のカスタム App に簡単に組み込むことができますね。

Claris エンジニアリング ブログに GetLiveText 関数の詳細な使い方が載っていますので、詳しくはこちらをご覧ください。

Claris パートナーの方が書いたブログもありますのでこちらもチェックしてください。

FileMaker Server による集計フィールドの処理

共有されているカスタム App の集計フィールドの計算を FileMaker クライアント側ではなく FileMaker Server 側で処理できるようになりました。これまで集計はクライアント側でのみ行われていたので集計対象のフィールド、レコードの値をクライアントにキャッシュすることで計算されています。大量のレコードや複雑な集計の場合には進捗ダイアログが進むのをしばらく待つ必要がありました。この機能により、(一般的には)クライアント端末に比べてハイスペックな CPU やメモリを積んでいることの多いサーバーのリソースを使って集計を実行できるので時間の短縮に期待ができます。

特に効果が見込まれるのは通信速度が遅い環境です。サーバー、クライアント間が高速な有線 LAN や Wi-Fi に接続されている場合にはサーバーからクライアントへのデータ転送がそもそも速いので効果を実感しにくい場合があります。また、サーバー側で集計が処理される条件に合致しない場合やクライアント側で集計に必要なデータが既にキャッシュされている場合などはこれまで同様クライアント側で集計実行されます。

こちらも Claris エンジニアリング ブログがありますのでチェックしてください。

Claris FileMaker Server 19.5

FileMaker Server 19.5.1 は Ubuntu 20.04 LTS をサポートしました。Web サーバーは世界で人気のある NGNIX と Apache httpd を切り替えることもできます。他にも、名前を付けて XML として保存をサーバー上で実行できるようになったほか、パラレルバックアップなどの新機能も追加され、生産性と利便性が向上されています。

パラレルバックアップ

バックアップはどんな用途のカスタム App でも最も大事な要素です。だからと言ってバックアップに時間がかかるのも嬉しくありません。お昼時間帯のバックアップに時間がかかってしまい 1 時間で終わらない、、、これでは業務に影響が出てしまいます。

今回新たに追加されたパラレルバックアップを有効にすると、FileMaker Server がデータベースのコミット時刻に基づいて、データベースをグループ化します。グループされたファイルをまとめてバックアップし、複数のグループバックアップが同時に実行されます。データベースの一時停止と再開がファイルグループレベルで並行して完了するため、より早くデータベースを利用できるようになります。

こちらも Claris エンジニアリング ブログがありますのでチェックしてください。

Claris FileMaker WebDirect のパフォーマンス向上

HTML をコーディングすることなくカスタム App を Web ブラウザから利用できる FileMaker WebDirect が進化しました。

レイアウトのデザインを担っている CSS(Cascading Style Sheets) が FileMaker Server 内のキャッシュに保存されるようになりました。これにより、タブコントロール、スライドコントロールなどのレイアウトオブジェクトが利用されているレイアウトにおける表示速度が向上します。レイアウトでキャッシュが検出されない場合、FileMaker Server 内のキャッシュから現在のレイアウトの CSS を取得します。

また、複数の同時接続のパフォーマンスも向上しておりますので FileMaker WebDirect をご使用中の方はぜひお試しください。

Claris FileMaker Go 19.5

先ほどご紹介した GetLiveText 関数は FileMaker Go でも利用可能な新機能ですが、このほか新しくサポートされたバーコードタイプについてご紹介します。

GS1 データバー限定型のサポート

FileMaker Go は[デバイスから挿入]スクリプトステップを使って iPhone や iPad のカメラを使ってバーコードや QR コードを読み込むことができます。今回、GS1 データバー限定型をサポートして合計 22 種類のバーコードを読み込むことができるようになりました。

バーコードオプションに [GS1 データバー限定型]追加になりました

「GS1 データバー限定型」と聞いてもあまりぴんと来ない方が多いと思いますが、それもそのはず、医療用医薬品で利用されるバーコードタイプなんです。全く目にする機会が無いかといえばそんなこともなく、例えば花粉症の治療薬にはこのバーコードが印字されていました。ぱっと見、普通のバーコードですが「GS1 データバー限定型」のため対応している FileMaker Go 19.5 を用いないと読み取ることができません。

GS1 データバー限定型バーコードの実例

セキュリティと信頼性の強化

FileMaker 19.5.1 にはとても多くのバグ修正が含まれます。これらの改善は、セキュリティ、インストールプロセス、計算関数、スクリプトワークスペース、FileMaker WebDirect、Claris FileMaker Admin API など多岐に渡ります。

今回ご紹介したのは今回のリリースのほんの一部となります。詳しくは各製品のリリースノートをご覧ください。

なお、19.5.1 リリース後に判明した問題に対処するため、19.5.2 が公開されています。(2022/07/14 時点)

パフォーマンス、安定性、利便性が大きく向上した最新の FileMaker 19.5 をぜひお試しください。

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