CLARIS CONNECT

FileMaker 選手権の舞台裏

FileMaker を使ったシステムを開発し、そのシステムの機能性やデザイン性を競うコンテスト「 FileMaker 選手権 2020 」がマイナビニュース主催で開催されました。FileMaker 選手権 2020 を共催し、事務局を担ったギフト株式会社の担当者が、今回のイベント運営の舞台裏をご紹介します。

前回以上に盛り上がった FileMaker 選手権

2014 年以来 6 年ぶりの開催となった今回は、応募総数 54 作品と前回の応募数を超える盛り上がりを見せました。(受賞作品はFileMaker 選手権 2020 公式サイト よりダウンロードいただけます)

今回、実際にご応募いただいた参加者の方々は、応募フローがかなり自動化されていることにお気づきかと思います。実は事務局の運営は、実質的に 1 名でおこなわれていました。

前回開催の 2014 年当時は FileMaker で応募作品の管理がおこなわれていましたが、今回は 2020 年に 新しくリリースされた Claris Connect を核にして、 FileMaker Cloud 、 Dropbox 、mailgun 3 つのアプリケーションをオートメーションコントロール(自動制御)し、連携して可能な限りの自動化ををおこなったため、一人での運営が実現したのです。

Claris Connect とは、「オーケストレーション( Orchestration )」をコンセプトに開発され、日本では 2020 年 3 月にリリースされたサービスです。 様々なアプリケーションを連携させ、ワークフローの自動化が可能です。現在では、ビジネスプロセスの効率化に取り組み、DX (デジタルトランスフォーメーション)を実現する企業に積極的に採用されています。 

応募管理システムはもちろん FileMaker

参加者の方はもちろん FileMaker に触れて応募するため、応募フローを FileMaker ファイルで完結させるように工夫しました。オンラインの Web システムで受付をおこなうというアプローチもあったのですが、 Server の運用コストや、外部から侵入された場合の個人情報などセキュリティ面での懸念、運用コストや構築にかかる時間などを考慮すると 、FileMaker ファイル( fmp12 )を配布するのが最適という結論にいたりました。

FileMaker で作られた応募フォーム

エントリー部門を選んで応募

ニックネームの重複を防ぐ仕組みも

作品を受け付ける際は、個人情報保護の観点から本名ではなくニックネームを使って応募していただきました。受付、審査のプロセスでは全てニックネームを使用し、審査会でも個人名を使用しないことを前提に応募フローを構築。 ID 番号で管理すると、参加者自身が ID を忘れてしまうおそれもあり、なにより応募作品に愛着がわきません。そのため、ニックネームの利用は今回の FileMaker 選手権でもこだわりがありました。
ただし、同じニックネームが存在してしまうと、管理上混乱を招くため、重複チェックが必要になります。そこで、 今回は、参加者の方に応募アプリ ( fmp12 ) をダウンロードしていただき、 Claris Connect で提供している FileMaker Cloud のコネクタを用いて、同一のニックネームの有無を確認。問題がなければ、応募の受付がおこなわれるような仕組みにしました。また、応募に関わる情報は事務局運営側にて厳密に管理していました。審査員の方々はニックネームにて審査されていますので、誰の応募作品なのかを見ることができません。(注:参加者の個人情報は、事務局からの参加賞および受賞者への景品発送に利用されております)

Claris Connect でニックネームの重複をチェック

応募フローの自動化を担う Dropbox

応募作品のアップロードについては、当初参加者に対してアカウントを発行し、事務局からファイルのアップロードを依頼するなどの応募フローも検討していました。しかし、事務局の確認というプロセスが入ると、対応に遅れが出てしまう懸念もあり、セキュリティを担保したうえで、スムーズに審査員が審査しやすい状態を作り出すためにどうするべきか検討を重ねました。解決のいとぐちになったのは、Dropbox でした。Dropbox のファイルリクエスト機能を使うことで、管理者以外はアクセス不可能なシステムを構築することができます。 また、ファイルリクエスト機能を活用して、応募作品のタイトル単位で各 URL を自動作成し、応募作品ごとに専用のフォルダを Dropbox 内に生成。フォルダ名は、「ニックネーム+応募作品タイトル」で作成してユニーク性をもたせ、フォルダをリスト表示させても、可読性を担保できるような工夫をしました。

また、応募締切後に応募ファイルの更新が可能な状況になってしまうと、審査の平等性に欠けるため、同じ応募作品がアップロードされないようなチェックをおこなう機能も設けました。アップロードされた応募ファイルのエントリー内容は、FileMaker Cloud 上の 選手権用の基幹データベースに転送され、応募状況の一括管理を実現。FileMaker Cloud のセキュリティにより、管理者以外は個人情報をマスキング。全てのプロセスが完了すると、参加者に受付完了メールが送信されます。その後 Claris Connect は、mailgunへ連携します。

一括メール送信に役立つ mailgun 

2014 年の選手権では一般的なメールアプリケーションを用いて、事務局担当者が手動で問い合わせ等のメール対応をおこなっていました。しかし前回同様に運営を進めてしまうと、連絡漏れなどのエラーも起きやすくなるだけでなく、応募管理との連携など多くの人的リソースが必要になります。今回は mailgun と Claris Connect を活用することにより、応募ファイルのエントリーのタイミングで自動化されたフローに沿って、事務局と参加者にメールが送られるような仕組みを構築しました。 

mailgun はメールの送信や受信、転送、追跡(トラッキング・分析)などをおこなう高機能なメール配信サービスです。 FileMaker のメール送信スクリプトを利用してメールを送信するのとは異なり、mailgun と Claris Connect を利用することで、 API ベースでの完全な自動化を実現しました。

Claris Connect でメール送信や FileMaker のレコードを自動化

審査員も FileMaker Cloud 上で完結

緊急事態宣言が継続しているさなかにおこなわれた審査会はオンライン会議で実施しました。各審査員は、 ClarisID で FileMaker Cloud にログイン、応募されたファイルの動きを確認しながら、デザイン・技術正確性・機能多様性・創意工夫・新技術の 5 つの点から審査しました。審査員がスコアを入力し、オンライン会議でコメントをしつつ、ときには作品の裏側にある開発者の熱意も汲み取りながら、受賞作品を決定しました。

FileMaker Cloud 上の審査用画面

事務局運営にかかる労力は 1/3 に

Claris Connect はサービス開始から 1 年しか経過していませんが、徐々に FileMaker ユーザの中にも浸透してきています。 Claris Connect はその他にも、さまざまな接続コネクタが準備されており、日本発のアプリであり、電子署名でシェア No.1 の 「クラウドサイン」や、「 Chatwork 」、「 SmartHR 」、「 PostcodeJP API 」 、「駅すぱあと」にも対応しています。 今回採用した Dropbox や mailgun の他にも、AWS 、Twitter 、Google などさまざまなアプリケーションへの接続が提供されてコネクタは増え続けています。( Claris Connect に 対応しているアプリケーションはこちら

今回の FileMaker 選手権 2020 では、 Claris Connect が本当に拡張性と効率性のあるサービスであることを実感しました。Claris Connect による オーケストレーションを実際に体験してみると、この仕組みは、医療などの研究データの送信や、リモートでの授業を実施している学校の課題提出などにも応用できる仕組みではないでしょうか。

Claris Connect を活用して、アプリケーションの機能をより充実させ、FileMaker を活用したみなさんの生活がより充実したものになるよう FileMaker のファンの一人として応援しています。
最後になりますが、Claris Connect のフロー構築に多大な支援をいただいた Claris セールスエンジニアの方々に心より感謝を申し上げます。

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Dropbox Japan エンタープライズチャネルマーケティング:牧瀬様 からのコメント

FileMaker 選手権 2020 がご盛況にて終了しましたことを心よりお祝い申し上げます。また 当社の Dropbox をギフト株式会社にてご契約頂き、このような新しい活用方法を開拓していただいたことにお礼申し上げます。 Dropbox API は、IT 業界のみならず、建設・教育などあらゆる現場で活用が進んでおり、組織の生産性向上に寄与しています。今回の FileMaker 選手権 2020 の運営事務局のように、多くの組織において、Dropbox API と Claris Connect が、業務を減らすことによる生産性の向上、残業時間の削減などによる働きやすい労働環境の整備に寄与できることに今後ますます期待しています。

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