開発者インタビュー

本気でアプリ開発を勉強して、自分自身と向き合い描く未来。

摂南大学が実施する「摂南大学 PBL(*1) プロジェクト」は、同校の教育理念である「自ら課題を発見し、そして解決することができる知的専門職業人の育成」を行なうための実践的な学習プログラムです。

学生が選択できるプロジェクトは多岐にわたります。その 1 つに、ビジネスシーンでも幅広く活用されているローコード開発ツールである FileMaker を学び(*2)、自分の手でアプリ開発をする喜びを体感しながら、地域が抱える課題の解決を目指すプロジェクトがあります。

教鞭を執る久保 貞也博士、 FileMaker 外部講師の佐合 紀和さん(株式会社未来Switch)は、このプロジェクトへの想いを次のように語ってくれました。

「このプロジェクトを通じて、学内の人だけでなく多様な社会人の方々との出会いや、『こんなこともできるんだ』と好奇心を広げてくれる技術ということだけでなく、自分の可能性や創造性を高めていってほしい。」

プロジェクトを通じてどのような成長や気づきが得られたのか、実際に受講した学生にお話を伺いました。

*1: PBL(Project Based Learning:課題解決型学習)は、自ら問題を発見し解決する能力を養うことを目的とした教育法。

*2: 授業で使用する FileMaker のライセンスは、「FileMaker キャンパスプログラム」を通じてクラリス・ジャパン株式会社が無償提供しています。

摂南大学 PBL プロジェクトに参加する学生のみなさんにオンラインインタビューを行いました。上段左:山中さん、上段右:真鍋さん、下段左:松本さん、下段右:當摩さん

一筋縄ではいかないからこそ、完成した時の達成感は計り知れない

Q.1 アプリ開発のやりがいについて

山中さん(以下、山中):「授業でプログラミングを勉強していたので、学んだことを実践的に使ってみたいと思いアプリ開発に挑戦しました。でも、思ってた以上に知識が身に付いてないと感じました。実際にアプリ開発をしてみて、初めて得た知識もたくさんあり、いい経験になったと思います。」

當摩さん(以下、當摩):「開発のやりがいは何かと聞かれたら、達成感!みんなで何か 1 つのものを作るという楽しさを知ることができました。 FileMaker は高度な開発スキルが必要なく、ローコード開発ができる点が大きな魅力だと思うのですが、それでも実際はそう簡単にうまくはいかなくて。なぜこうなるんだろうとか、自分が期待していることに対して、自分の技術が追いついていかない難しさも感じました。それも、いい経験ですよね。」

山中:「そうですね。同じグループのメンバーと一緒に考えたり。行き詰まった時は、佐合さんや久保先生に聞いて、また試してみることの繰り返しでした。自分ではできているつもりでも、動かしてみるとうまくいかないことの方が多かったです。それでも何度もやり直すからこそ、きちんと動いた時の感動があったのかなと思います。この感動が、私にとってアプリ開発のやりがいですね。」

真鍋さん(以下、真鍋):「プロジェクトの期間中、今どんな感じで進んでいるのかなと、他のグループの画面を見せてもらうことがありました。他のメンバーの進捗や調査方法は、私にとって刺激になりました。私達のチームはインターネットから情報を集めていましたが、別のチームは現地調査を行なっていて、実際に寝屋川市内にある公園に出向いていました。情報収集ひとつをとっても、さまざまな方法があると知り、取り組む過程の 1 つひとつに発見があるのも楽しかったです。」

寝屋川市役所で、公園・遊具検索アプリについて説明するグループ。

摂津市役所で、ゴミの日カレンダーのアプリについて説明するグループ。

自分ごと化するほど成長し、新たな気づきが増えていく。

Q.2 成長したこと・自信につながったこと

山中:「私は経営情報学科で経営の分野を中心に勉強するつもりで入りました。正直いうとパソコンは苦手だったんです。でも、PBL の活動や授業を通してパソコンにもっと詳しくなりたい、武器にしたい、と考えるようになったのは 1 つの変化でした。」

真鍋:「私も文系ですが、パソコンにも強い人でありたいと思い、経営情報学科に入りました。同じ学科の中でも、 FileMaker を触っている学生は少ないです。PBL の活動の中で、私のグループでは地域のゴミの日のカレンダーアプリを作りました。その経験を通じてプログラミングを学べたことが自分の強みになりました。大学生活の中で、他の学生とはひとあじ違う経験ができたことは大きな自信につながっています。そう考えると、FileMaker でのアプリ開発は今の自分を作ってくれたものの 1 つだと思います。」

松本さん(以下、松本):「私は自分が受け持った仕事を進め、役割を果たすために、 1 つひとつの行動の意味を考えるようになりました。PBL の活動の中では、連絡をしてもメンバーからの返信がなかったり、遅かったりして、周りの作業が滞る場面もありました。自分の行動 1 つで、全体がスムーズに動けなくなることもあるとわかり、自分の責任を認識するようになりました。自分の行動の先にいる人たちや、起こり得ることを考えられるようになり、成長を感じています。」

當摩:「本当にそのとおりで、チームでプロジェクトを進める時に、『〇〇してください』とお願いをしても、期限通りに終わらせてもらえなかったり、返事がなかったり。チームで進めることの難しさはありましたね。人任せにせず、何事も自分ごと化して取り組むようにしたことが、自分の成長につながったと感じています。」

学びを深めることで見えてきた、自分の未来像。

Q.3 就職活動について考えていること

山中:「就職活動をして、 IT 業界は人気と言われている一方で、開発経験者も少ないことから未経験者も受け入れてる印象を受けました。周りは開発未経験の人が多かったですが、そんな中で少しでもアプリ開発に携わったことがある、というのは強みになったと感じています。アプリ開発の経験をアピールできました。」

松本:「私は IT 業界でプログラミングの仕事をしたいと思っています。これから就職活動ですが、言葉で『〇〇が得意です』と伝えるよりも、やはり自分の作ったものを形にして見せられたら、自分の実力を理解してもらいやすいと思います。成果物を見せることで、人にも納得してもらえるのではないでしょうか。また、アプリ開発やプロジェクトを通じて自分がここまで成長できたということも、形として見えるので、より実感しやすく、自信につながっていると思います。」

當摩:「私も FileMaker を通して IT 業界に興味を持つことができたので、将来は開発などのものづくりに携わりたいなと思ってます。まだ具体的ではないのですが、誰かのお困ごとや要望に応えるようなもの、人の役に立てるものを開発できる人になりたいと思います。」

山中:「先ほどもお話ししたようにアプリ開発はとてもやりがいがあります。私も最初は先生方に初歩的なところを聞きながらでないと進められないレベルでした。でもそのうちに、これを自分のこの武器にしたい、もっと大きなもの開発したい、という思いに変わっていきました。これまでは、やりたいことが決まっていなかったけれど、この経験を通じて得たやりがいや感動を、今後はもっと大きいものを作って感じたい。だから IT 業界に入って自分の腕を磨いていきたいと思っています。」

[編集後記]

PBL プロジェクトを通じて、学べるのは FileMaker を使ったのアプリ開発の技術だけではありません。メンバーと 1 つのプロジェクトを進めていく難しさや喜びとともに、技術を身につけることだけで満足せず、社会に還元していくような働き方をしたい。学生たちのまっすぐな想いを垣間見ることができました。この経験を経た学生たちは、自分の成長の先にある未来を描いているようでした。