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札幌医科大学によるコロナ感染者受入れ調整効率化への取り組み

2020 年 2 月下旬、北海道は新型コロナウイルス感染症(以下:COVID-19)拡大のため、日本で初めて緊急事態宣言を実施しました。これにより道内の学校は休校、イベントは中止、自宅待機が「要請」されました。

各保健所はウイルス感染拡大防止に努め、3 月半ばに 1 日当たりの感染者が 1 桁まで減少したため、3 月 19 日に緊急事態宣言を解除し、4 月には学校が一時再開となりました。しかし、緊急事態宣言解除から 26 日後の 4 月 16 日、COVID-19 の第 2 波により北海道は再び緊急事態宣言の対象となりました。

そのような状況のなか、札幌医科大学救急医学講座 上村講師は、北海道庁と札幌市と連携し、札幌市保健所内に札幌医療圏入院調整チームを組織して、患者の医療機関受入れ調整を開始しました。

その中で、医療機関と入院調整チームが、各医療機関の COVID-19 患者の入院患者数と受け入れ可能数の最新データを安全に共有し、「見える化」する必要性を強く感じました。

そこで、FileMaker プラットフォームで展開される WebDirect テクノロジーを採用することを検討して、 クラリス・ジャパン株式会社 および 認定パートナーで北海道に拠点を置く 株式会社 DBPowers  に協力を依頼、アジャイル開発と臨機応変なローコード開発を求めました。 

上村講師から患者調整に必要な項目が指定されデータの入力が始まりました。今回のアジャイル開発は当初の検討開始から 5 日で完成となり、クラリス・ジャパン株式会社からライセンスの無償提供を受けて FileMakerプラットフォーム をベースとした 「CovidChaser」が稼働し始めました。

救急医学講座の 中山 龍一 医師 をはじめとしたスタッフが 札幌市保健所内のオペレーションルームに滞在して運用を開始すると、追加機能やニーズの変化が現れてきたため、管理項目を 35 項目まで拡大しました。「CovidChaser」はオペレーションルームの大型スクリーンに 表示され、各医療機関の最新情報を常時共有できる環境になりました。COVID-19 受入れ医療機関が情報を共有して「見える化」することで、札幌医療圏COVID-19 患者の受入れ調整の効率化を図ることができ、札幌市での感染第2波を乗り切ることができました。 

札幌市がリアルタイムでの「見える化」を実現した COVIDChaser 施設入力画面

今回のプロジェクトに ボランティアで参加した 株式会社 DBPowers 代表の有賀氏は、「 FileMaker プラットフォーム で展開される WebDirect  テクノロジーは、高度なセキュリティを担保した状態で、現場に必要なアジャイル開発を提供しており、安定稼働を実現していることで開発者側も安心して入院調整チームの要望変化を受け入れることができています。クラウド環境なのでバックアップや医療施設が増えて負荷が増えても随時拡張できるため、利用する医療圏が増えても問題なく対応できます」と語っています。

今回のプロジェクトを主導した、札幌医科大学救急医学講座 上村講師からは、「医療崩壊を起こさないためには、行政主導のもと各医療機関の役割分担を明確化して、適正な受入れ調整や病院間の搬送が必要でした。その中では情報連携が必須だと感じています。従来の体制では、各医療機関がそれぞれ頑張って診療を行うのみで、医療機関同士が情報を共有したつながりは乏しく、資源の配分が難しい状態でした。今回のミッションでは、各医療機関の患者数や受け入れ可能数をリアルタイムで把握する必要性と情報共有することで医療機関同士のつながりを強化する必要性があると考え、情報共有のシステム開発を依頼しました。日々刻々と状況が変化するなかではシステム変更が必須で、またシステム変更には即時性が求められます。このような緊急事態において限られた人的リソースを最大限発揮するためには、行政・医療従事者が従来の手法ではなく、本質にこだわった取り組みが必要だと感じています」とコメントをいただきました。

CovidChaserにて感染状況を確認する 中山医師(左)と上村医師(右)


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