特集

イノベーションを導くリーダーシップ- 組織で求められるこれからのリーダー像とは?

FileMaker カンファレンス 2019 スペシャルパネルディスカッション「イノベーションを導くリーダーシップ」

リーダーシップに関するテーマで熱い議論が交わされた。

パネリストの方々

11 月 6 日 ~ 11 月 8 日の 3 日間にわたり開催された FileMaker カンファレンス(以下:FMC)で初日の最終セッションを飾った「イノベーションを導くリーダーシップ」。自社でリーダーシップを発揮し、イノベーションを実践してきた 5 名のゲストが登壇し、現在、そして、これからの時代に求められるリーダー像について議論が交わされました。

【登壇者紹介】

経営ジャーナリスト・中小企業診断士

瀬戸川 礼子 氏

Honda Cars 若狭 株式会社カワムラモータース

2016 年日本経営品質賞 中小企業部門受賞企業

社長 河村 将博 氏

日本航空株式会社

運航訓練審査企画部 定期訓練室 室長 777 機長 飛行訓練教官

荻 政二 氏

日本航空株式会社

運航訓練審査企画部 訓練品質マネジメント室 室長 767 機長 飛行訓練教官

京谷 裕太 氏

株式会社アイデミー執行役員、株式会社 Eight Arrows 代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授

河野 英太郎 氏

変わらなければならなかった大手企業と、変えないことを決めた中小企業。

不確実性が高まるなか、イノベーションへ導くために組織はどう変わっていくべきか。本セッションにおいて、日本航空株式会社の荻氏、京谷氏とカワムラモータース河村氏はその問いに対して対象的な姿勢を見せました。

日本航空は 2010 年に倒産を経験しています。荻氏と京谷氏はその転換期に訓練の刷新を仕掛けた人物です。それまでの訓練は、以前から変わらない内容をうまくこなすことが目的化してしまっていたと話します。不確実な事象に対しても柔軟に対応できる組織に変わらなければいけない、全社員が確信した時期だったからこそ舵をきれたのではないかと京谷氏は振り返ります。

京谷氏「かつては、機長が指示を出し、クルーがその通りに遂行することがチーム全体の命題でした。しかし、飛行機をいかに安全に飛ばすかというテーマは機長だけではなく、チーム全員が考えるべきテーマです。機長に求められることは、場を仕切ることではなく、クルー全員と協働すること。独りよがりのオペレーションを指示するのではなく、周りから意見を引き出す環境づくりを主眼においた訓練プログラムへの転換が必要でした。」

一方の河村氏は、大きな資本をもたない自社のような中小企業が変化に柔軟に対応することは難しいと主張します。そこで、河村氏は変化に対応するのではなく、変えてはいけないものを徹底的に大切にしようと考えます。そして現在、役職を設置しない組織体制を実践されています。

河村氏「自分で決めて自分でやるからこそ、人は責任感を発揮します。働く人の一番のニーズは『自ら考えて、自ら行動し、自ら反省する』ことではないでしょうか。そこを一番に考えた結果、当社が運営する 2 店舗は、どちらも店長不在で運営されています。乱暴な言い方をすれば、優秀な店長 1 人いれば、従業員はとても楽ですし、店舗の収益もぐんぐんあがります。ただ、私たちはそれをやめることを決めました。」

大きく変える取り組みを実施する日本航空に対し、変えないことを決めたカワムラモータス。変わりゆく時代のなかでは、他を見て正解を探すのではなく、それぞれが自らの組織が置かれた現状や課題に向きあうことが何よりも大切なのかもしれません。

心理的安全性は透明性の高さから。誰もが情報へアクセスできるデータ管理の重要性。

大企業を中心に人事制度改革や人材育成、組織行動改革などを推進する河野氏。そして、26年間にわたり、全国のさまざまな企業を、「働きがい」をテーマに取材し、あらゆる企業を見てきた瀬戸川氏。2 人はリーダーシップを紐解くキーワードとして「心理的安全性」に言及します。

河野氏「若い世代からの意見のなかには、上の世代からみて一蹴できることも多くあります。ただ、その裏にはいい提案があるはずです。それを拾い上げる土壌や引き上げるようなリーダーシップが現場には必要です。そして、そこには心理的安全性がある。これからはそういう時代であり、そういうリーダーであるべきなのではないでしょうか。」

瀬戸川氏「一般的なリーダーのイメージは、周りをぐいぐいリードしていくような人物ですね。ですが、真のリーダーは、メンバーの心理的な安全性を担保できる人物ではないでしょうか。Googleが5年前に行ったリサーチ*でも、心理的安全性が挙げられていました。個人の力を最大限に発揮するということはその人を信じ、のびのびと動いてもらうこと。そこにリーダーの真価があるように思えます。」

*「Project Oxygen」:成果をだせるチームの特徴を調査した Google のリサーチプロジェクト

瀬戸川氏はさらに、イノベーションが起こりやすく心理的安全性が担保されている組織の特徴として、「透明性の高さ」を挙げました。誰もが情報を持てる環境だからこそ、イノベーションを考える土壌ができるといいます。実際に、日本航空では訓練データを一定レイヤー以上の全乗員にウィークリーレポートとして共有しています。荻氏は、それが実現できるシステムがなければ今の改革は進まなかったと振り返りました。

荻氏「データベースを使ってコンピテンシー訓練をはじめた航空会社は、当社が国内初でした。やり方もわからない。日本人に馴染むかどうか、成功するかどうかもわからない。でも、とにかくやってみようという挑戦でした。8 年以上をかけて、理想のシステム、データになるようアップデートし、今も続けています。良いデータがとれれば、パイロットの質が上がる速度も上がります。そのデータを解析すれば、次の年の訓練を最適化していくこともできます。データという情報を用いて毎年改善を進められた理由は、FileMaker をつかって、自分たち自身がデベロッパーとして携わったからこそ。これを外部にお願いしていたら、資金調達や稟議だけでも1年はかかってしまいます。そうなれば、イノベーションなど続けられるわけもなかったと思います。」

「イノベーションは起こすものではなく取り組むものであると考えている」という河村氏の言葉通り、実践的かつ具体的な議論が交わされた本セッション。河野氏は以下のような言葉で締めくくりました。

河野氏「イノベーションとは、飛び道具ではなく、日々の工夫として捉えていただきたい。天才だけが取り組むことではなく、全従業員が企業や社会のなかで、その責任をおっているもの。私たちはそう考えています。今回のセッションが、他人ごとではなく自分ごととして考えていただける機会になれば幸いです。」

このパネルディスカッションにご登壇いただいた 日本航空株式会社の FileMaker 活用事例の記事とビデオをこちらからご覧いただけます。


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