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複雑な問題に新たな視点から向き合う- 非直線的な思考法を学ぶ図書 4 選

皆さんは、問題と出会ったとき、どのように考え、対処しているでしょうか。変動性・不確実性・複雑性・曖昧性が増し、これまでの経験をもとにした直感的な打ち手では対応できない問題も増えています。「VUCA 」の時代、そして「New Normal」が提唱される今、私たちは問題を見つめる視点自体を変える必要があるのではないでしょうか。

本記事では、複雑さを増す問題とうまく向き合うためのヒントとなる 4 冊をご紹介します。


① なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか ? ―小さな力で大きく動かす ! システム思考の上手な使い方 

枝廣 淳子  (著), 小田 理一郎  (著) , 東洋経済新報社(出版)

ロジカルシンキングでは、問題解決の際、ロジックツリーや MECE(ミーシー) が基本的な考え方として用いられます。一方向的な問題の場合、ロジカルシンキングは大きな効果を発揮します。しかし、要素が複雑に関係しあう問題においては、ロジックツリーを書き始めると要素同士の因果関係が不明瞭なまま、要素が増えすぎて混乱を招く場合もあります。

本書では、要素同士の因果関係も踏まえた解決策を見出すため、「システム思考」という考え方をとりあげています。システム思考では、問題に関係する要素同士を因果関係で繋ぎあわせ、問題の構造を「パターン」として捉えます。全く違う問題でも、同じパターンがみつかれば、「ツボ」を見つけることができます。そのツボにアプローチすることで、最小の力で最大の解決を図ります。


② ライト、ついてますか―問題発見の人間学

ドナルド・C・ゴース (著), G.M.ワインバーグ (著), 木村 泉 (翻訳), 共立出版(出版)

問題を捉え、解決のために仮説を立てる時、その確実性をどう確認しますか?私たちは問題と向き合う時、直感的に思いついた解決策に飛びついてしまいがちです。

本書では、問題解決の 1 歩手前、問題発見にスポットを当てています。章ごとに違ったストーリーが展開されます。そのどれもが示唆とウィットに富んでおり、問題解決者が心得るべきいくつかの罠について教えてくれます。人間らしい判断から起こるさらなる問題にクスっと笑えるようなエピソードもあり、難しいビジネス書というよりは、教訓の得られる故事のような内容にまとまっています。問題解決の現場で、頭に入れておきたい心構えについて学べる 1 冊です。


③ 具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

細谷 功  (著), dZERO(出版)

何かを話すとき、思わずこんな枕詞をつけてしまうことはありませんか。「抽象的な表現で申し訳ないのですが…。」「具体的でなく大変恐縮なのですが…。」もしくはこんなふうにいわれたことはありませんか。「もっと具体的に話してほしい。」

ビジネスの場で、具体性のなさはネガティブに受け取られがちです。しかし本書では、具体だけを良しとする風潮へ警鐘を鳴らします。人が何かを思考するとき、そのほとんどが具体と抽象を行き来しているといいます。イノベーションの現場でも課題解決メソッドの”ダブルダイヤモンド”など、抽象・具体の考え方はよく使われます。なんとなく、「具体=わかりやすい。抽象=わかりづらい」と捉えがちですが、本書では抽象の価値を見直すことができます。


④ 他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論

宇田川 元一  (著), NewsPicksパブリッシング(出版)

組織における課題は、その全てがロジカルに片付けられるものばかりではありません。解決しようと働きかけた時、立場や役割、人間関係などが原因で調整に時間がかかったり、 うまく機能しなかったりで、「どうして協力してくれないんだ」と周囲に対して腹を立てた経験はないでしょうか。

本書では、人の関係から生まれる複雑で困難な課題全般のことを「適応課題」と呼んでいます。適応課題は、1 つの問題だけから生じるものではありません。ある問題に対し、おのおのが合理的だと考える選択をしているため、押しても引いても変えられない状況が続いてしまうような状態にあります。これを解決するには、どうしたら良いか。本書では、そのための解決策を提案し、実践方法までを紐解いて教えてくれます。