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Claris FileMaker Data API と Claris FileMaker OData API の違いを解説!

目次

  1. Claris FileMaker Data API と Claris FileMaker OData API の違いについて
  2. そもそも API って何?
  3. FileMaker Data API とは?
  4. FileMaker OData API とは?
  5. どの機能を使えばいい?
  6. FileMaker Data API と FileMaker OData API の比較表
  7. まとめ

1. Claris FileMaker Data API と Claris FileMaker OData API の違いについて

近年、Claris は社内外とのシステム連携を強化するためのさまざまな機能を提供しています。その中でも注目されているのが 「Claris FileMaker Data API」「Claris FileMaker OData API」です。

名前は似ていますが、それぞれ得意な分野が異なり、使い分けが重要です。

本記事では、初心者の方にもわかりやすく FileMaker Data API と FileMaker OData API の違いや使いどころを、具体例を交えてご紹介します。

2. そもそも API って何?

まず、API(Application Programming Interface)について確認しましょう。API とは、異なるアプリケーションやソフトウェア同士が「データをやり取りするための窓口」です。Claris FileMaker が提供する API を使うことで、他のシステムや Web アプリケーションから FileMaker のデータを読み書きできるようになります。

3. FileMaker Data API とは?

FileMaker Data API は、Claris FileMaker Server または Claris FileMaker Cloud に保存されているデータに外部のアプリケーションやシステムから物理テーブルではなく「レイアウト」を通じてデータを操作する REST API (Representational State Transfer という設計原則に基づく API)です。JSON 形式でデータをやり取りし、HTTP リクエストを使ってデータの操作ができます。

特徴:

  • 各クライアントへの専用ドライバのインストールや設定が不要
  • HTTP リクエスト( GET/POST/PATCH/DELETE ) でデータを操作
  • JSON 形式でデータをやりとり
  • トークンベース認証でのセキュアなアクセスを実現
  • セッションが継続する限りセッション中のデータベース環境を保持し、その内容を処理に反映( Stateful )
  • レイアウトを通してデータを操作
  • Windows、macOS、Linux、クラウド環境やモバイルデバイスなど、幅広い環境で利用が可能

活用例:

  • 外部の CRM や ERP で入力された顧客情報を FileMaker と同期
  • モバイルアプリから FileMaker に保存されている在庫数を取得・更新
  • 外部のBIツールに定期的にデータを送信

参照 : Claris FileMaker Data API ガイド

4. FileMaker OData API とは?

FileMaker OData API は、Microsoft が開発した REST ベースのプロトコルである OData(Open Data Protocol)に準拠したデータアクセス機能です。OData の標準仕様に基づき、FileMaker Server または FileMaker Cloud に保存されているデータを外部のアプリケーションやシステムから、 リレーションシップグラフ上のテーブルオカレンス( TO: Table Occurrence )を基準に、JSON、XML または HTML 形式で取得・更新できます。

特徴:

  • OData の標準仕様に準拠
  • 各クライアントへの専用ドライバのインストールや設定が不要
  • HTTP リクエスト( GET/POST/PATCH/DELETE ) でデータを操作
  • JSON、XML または HTML 形式でデータをやり取り
  • シンプルで実装しやすい BASIC 認証でのアクセスを実現(FileMaker Cloud の場合は、Claris ID によるトークンベース認証( JWT Token ))
  • サーバー側でセッションを保持せず、各リクエストを独立して処理( Stateless )
  • テーブルオカレンス( TO )を基準としたデータ操作
  • クエリパラメータによるデータ操作が可能(フィルタリング、ソート、ページネーションなど)

活用例:

  • FileMaker に蓄積されたデータを BI ツールに連携し、売上や在庫情報をリアルタイムで可視化
  • Excel の「OData フィード」を利用し、FileMaker の販売履歴情報を定期的に更新しながらレポート作成
  • 予約システムに FileMaker のデータを組み込む

参照 : Claris FileMaker OData API ガイド

ちなみに Claris では、「Claris Connect」というワークフローの自動化プラットフォームも提供しています。この中の Claris 製品のコネクタは、FileMaker Data API や FileMaker OData API を活用し、他のクラウドサービスやアプリケーションとノーコード・ローコードでの連携を実現しています。

Claris Connect は、さまざまなアプリケーションやサービス(たとえば FileMaker、Slack、Google Workspace、AWS など)を 簡単に連携できるクラウドベースの自動化ツールです。ドラッグ&ドロップの直感的なインターフェースでワークフローを構築し、繰り返し作業の自動化やデータ同期が可能です。例えば、Web フォームからの問い合わせ内容を自動で FileMaker に登録し、Slack に通知する、といった一連の処理が数分で作成できます。Claris Connect の利用できる既存アプリや事例については以下をご覧ください。

Claris Connect で利用できる既存のコネクタ
Claris Connect を利用した事例
Claris Connect を利用して郵便番号から住所を取得

5. どの機能を使えばいい?

  • 「レイアウトに設定されたフィールドやスクリプトトリガ、アクセス権限をそのまま適用しながら、データの取得・登録・更新・削除したい場合は、「FileMaker Data API」を選択しましょう。
  • FileMaker のリレーションシップグラフ上のテーブルオカレンスとアクセス制御を生かしながら、レイアウトを通じたアクセスに似た柔軟データの取得・登録・更新・削除を行いたい場合は、「FileMaker OData API」を選択しましょう。
  • カスタム App のメンテナンスやアプリケーションの機能として、DB のスキーマの変更(テーブルの作成・削除、フィールドの追加作成など)を行いたい場合は、「FileMaker OData API」を選択しましょう。
  • API リクエストを行うスクリプトの開発が面倒臭い、メンテナンスを簡単にしたいという場合は、「Claris Connect」を選択しましょう。

6. FileMaker Data API と FileMaker OData API の比較表

7. まとめ

FileMaker Data API と FileMaker OData API は、それぞれに得意分野があり目的に応じた使い分けが大切です。

どちらも活用することで、FileMaker の可能性はさらに広がります。これを機に、自社システムの柔軟な拡張性を検討してみてはいかがでしょうか?