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1000 名以上が参加したオンラインセミナーの主催者が教える成功の秘訣

参加者総数が 6 回の開催で延べ 1000 名を超えたというオンラインセミナー。最大の特長は質疑応答で、細やかな工夫により視聴者とのインタラクティブ(対話型)コミュニケーションを実現しています。今回はセミナーを主催した株式会社イエスウィキャンの代表取締役社長である有城博昭さんに取材を行い、成功するオンラインセミナーのコツをうかがいました。

セミナー後には相談コーナーを設置すべし。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2 月あたりから大手企業ではすでにテレワークがはじまっていましたよね。そこから中小企業含め多くの企業が在宅になる流れはなんとなく感じていました。当社の一部社員は、すでにテレワークを導入していたため、社内体制に関しては全く心配していませんでした。

一方で、新しいお客様に対しては従来お会いするケースがほとんどでしたので、在宅ワークに切り替えてどう接点をもっていくかは経験知がありませんでした。そこで営業部門と新たな施策を考え、イベントと相談コーナーを開こうという話に。インフラの準備と同時並行でお客様の営業フローを設計、3 月中旬には開催できるような体制が整いました。

社内にこのプロジェクトを周知した当初は、みんなキョトンとしてましたね。営業はまずお客様の元へ行くのが仕事だろう…と。そういうマインドを方向転換してもらうのには少し苦労しました。とにかくやってみよう!と声をかけて動いてもらう。そのうちに各所で時差通勤や完全テレワークが始まり、オンラインで実施する意味合いをみんなもだんだんわかってくれたような印象です。

セミナーの企画はこれまでの FileMaker カンファレンスや、都内で開催していた集合型ワークショップで実施していた内容をオンライン用にスライド資料をブラッシュアップして行いました。

4月は初めてだったということもあり、参加しやすさを考慮して、お昼ご飯の時間は避けた午後の時間帯に 1 枠 30 分間で開催しました。実施後のアンケートでは、「お昼の時間」や「帰宅後」にもという声をいただいたので、次回はお昼にライブ配信、1 週間後の 19 : 00 〜 録画配信と、よりご都合に合わせて参加・視聴がしやすいように実施してみる予定です。

また、セミナー後には必ず相談コーナーを設けています。相談コーナーは 1 回 20 分 で無料にしています。「なんでもいいからぜひ相談してください」という趣旨で場を設けています。

この工夫が功を奏し、参加者も増え、いろいろな方からご相談いただく機会も得られました。集合型のワークショップでは顔を見合わせているので相談しやすい一方で、オンラインだと個別の相談は遠慮されてしまいますので、そのあたりの心理的なバリアを和らげる工夫をしています。

参加者の声も聞きながら、より良いセミナーになるよう改善しながらオンライセミナーを運営していこうと思います。

株式会社イエス ウィ キャン 代表取締役社長 有城博昭さん

オンラインイベント成功の鍵は役割分担にあり。

オンラインの場合、話している最中にも製品に関する事や、技術的内容など、様々な質問が集まります。発表者が質問を受けてしまうと、まず答えきれません。そのため、オンラインイベント開催中に投稿された質問を振り分ける役割のファシリテーターを用意しています。

この質問は、視聴者に有益な情報なので発表者から答えてもらおう、この質問は個別な対応としてファシリテーターがオンラインチャットで返信しようなど、発表者が答える質問の量をコントロールします。特に技術的、専門的な質問には、さらに別で待機しているエンジニアに回答してもらうこともあります。

100 人を超えるオンラインイベントであれば、サポート役は絶対 2 人以上必要です。一方的なスライドプレゼンテーションであれば録画再生と同じです。様々な参加者とのキャッチボールができてこそ、オンラインイベントをライブで開催する意味があると感じています。

ちなみに当社のセミナーの場合、もう 1 人配信状況を確認するメンバーも待機しています。視聴者として参加してもらい、画面の遅延や音声配信の品質を確認してもらっています。発信している側と視聴している側では、画面の見え方が異なるので発表者は異常に気づかないことも多々あります。何かあれば、視聴者サイドから配信担当者へ指示を出してもらっています。

オンラインで大切なことは参加されている方々の見え方と、受け取り方ですので、参加される方々が、お時間を割いて当社のセミナーに参加されていることをとても貴重なことと考えているからこそ、当社は最低でも 発表者+3名以上が役割を分担して1つの配信を大切にしています。

2020年 4 月 30 日に開催されたオンラインセミナー

オンラインイベントで大切なことは?

経営側と現場が一緒になって、とにかくイベントやろう!って決めることが大事じゃないでしょうか。私たちもやってみるまでは、こんなに多くの方が参加してくれるとは思ってもみませんでした。オフラインでもオンラインでも大切なことは、繋がり続けることだと思いますから、今後も愚直に参加者視点でのオンラインセミナーを継続していきたいと考えています。

緊急事態宣言が解除されたからといって、すべてが今まで通りということは絶対にあり得ないでしょうし、弊社でも6月以降も全員在宅勤務です。他の企業においても一部在宅は当然になっていくでしょう。すると、学びの場や情報を得られる場へ自宅からアクセスしようと考える人は増えていきますよね。そういう方が増えれば、オンラインでのイベントも必然的に増えてくると思います。

オンラインイベントって誰でもできるので、参入障壁が低いんです。だからこそ、これからは伝える内容だけではなく、質が問われてくるんじゃないでしょうか? 視聴側も目が肥えて、これは見て良かった、これはそうでもないなっていう評価が出てきますが、信頼を失った後に回復するのはオフラインでもオンラインでも同じです。信頼を得るために戦略的に企画を練ることがとても大切なことだと思いますね。

[編集後記]

良いと思ったことは「とにかく、やってみる」。やると決めたら、戦略や企画をしっかりと練り、実行する。その姿勢やエネルギーに多くの人が影響を受け、周りを巻き込みながら有城さんが道を切り拓いてきた様子が想像できました。

このような不確実性の高い時代だからこそ、代表自らが前を向き率先垂範している姿は、自分の行動が組織の文化を醸成するリーダーシップの模範だと感じました。同時に、運営を社員に任せること、つまり責任を持たせることを前提にイベントが運営されており、任せた相手の当事者意識を刺激し、フォローし成果を出すことにも注視されている育成方針にも学ぶことが多くありました。これからどのような企画やアイデアが有城さんから生まれ、どのような人を巻き込んで形にしていくのか。とてもワクワクするインタビューとなりました。


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