開発者インタビュー

離職率ゼロのシステム開発会社。働きやすい環境は、信頼関係が生み出す。

システム開発を主な業務としているパットシステムソリューションズ有限会社。離職者ゼロの理由について、信頼関係を築く仕事の受け方や、社員の働きやすい環境を通して、社長の中村さんにお聞きしました。

仕事は、信頼することから生まれる。

 もともとシステム開発の下請け業務を行う会社で働いていました。しかし、下請け業務ではなく、実際にシステムを使用するエンドユーザーの方々と気持ちよく仕事をしたいという気持ちがずっと心にあったんです。そんな働き方ができる会社を探したのですが、なかなか見つからず、自分で起業することに。お客さまも全くいない本当のゼロスタートだったため、半年ぐらいは全く仕事がない日々。ハローワークで事務員を募集している=人手が足りないからシステムで効率化をはかる余地がある企業、と考えて営業をかけたりしましたが、ことごとく振られました。

そんな苦しい中、知り合いから紹介されたのは、大きなメーカー企業の担当者。 打ち合わせで FileMaker を利用したデータベースの提案をすると、その場に居合わせた1人が、たまたま FileMaker をご存知で、システム開発を依頼してくれました。今考えると、予算としてはさほど大きなものではなかったのですが、当時は、自分の力をアピールする機会をもらったと嬉しくて嬉しくて。私も金額云々というより、自分ができることを最大限やりましょうと引き受けました。こんな大きな会社が、当時1人しかいなかった小さな会社と取引をしてくれたのは本当に驚き、信頼されたことにとても感激しましたね。

この案件で気づいたのは、結局は、どんな仕事でも一個人が相手だということ。大きな企業でも、結局は目の前の 1 人の方が突破口を開いてくれたんです。何か依頼があったときに、私ができるものであれば、精一杯やらせてもらいますし、難しそうであれば、「すいません、できません」と相手に正直に伝える。

私は、会社に仕事を依頼してくれるということは、その会社を信用してくれているということだと思っています。目の前の人を信頼できていなかったら、仕事も契約も成り立ちません。付き合っていくお客さまも、ともに仕事をしていく社員も、信頼できる人とやっていきたいと、当時から強く心に決めていました。

採用基準は人間性、仕事の成果は努力でなんとでもなる。

うちで働く社員に関しては、できるだけ働きやすい環境を考えています。特に心がけていることは定期的に社員と話すこと。時には要望や不満が出てきますが、基本的に社員の不満は全て受け入れるようにしています。うちの社員はみんな、やるべきことにベストを尽くしています。その上で、私に物申すというのは、やはり相当な思いがあるものでしょう。それは、なんとしてでも解決してあげたいと思っています。

採用に関しても、人間として信頼できるかどうかということを、一番に見ています。仕事の成果なんて経験とある程度のレベルがあれば、そこから先は本人の努力次第でもなんとでもなるはずですから。その結果かもしれませんが、社員はみんな長く働いてくれています。会社設立 20 年ですが、いまだに離職者はいません。

FileMaker カンファレンス 2019 に登壇する中村さん

仕事やお客さまを選ぶ開発会社があっても良いと思う

働く社員だけではなく、一緒にお仕事させていただくお客さまにも、お互い正直に向き合うことができ、信頼関係築けるかどうかを基準にしています。正直、お客さまを選ぶのはどうか…と考えたこともあるのですが、実際に現場で直接お客さまとやりとりするのは当社の社員なので、一方的な関係になってしまうと、どうしてもしわ寄せが来てしまいますから。商談では私が直接、担当の方とご相談していくなかで、お仕事を請け負うか決めさせて頂いています。

その際、大事にしている考えがあります。「プロジェクトは全うしたうえで、責任はお客さまと弊社、半分ずつ負う。これまで世の中になかったものを作ることとはそういうことである。」ということです。その考えに共感し、一緒にやりましょうと、協力関係でいられるお仕事が良いなと思いますね。

例えば、当社が請け負った例としては不妊治療に関わるシステムがあります。ご存知の通り、人工授精のプロセスでは、検体の取り違えは、 絶対間違いがあってはならない分野です。採卵、人工授精、体外受精など 20 種類の業務手順があり、誰が、いつ、どのような認証を行ったかという履歴が記録されなければなりません。クリニックの運用方法と取り組むべき課題を明確にして、検体認証・凍結管理システムをクリニックと一緒に完成させました。

培養士は冷凍保存した卵子をバーコード(FileMakerGo)で二重認証し間違いを未然に防ぐ

私たちは、システムを開発して納品して終了、というような仕事はしません。その後のメンテナンス作業までしっかりフォローします。正直、だいぶ手間がかかってしまう部分もありますが、そこはお客さまと一心同体ですから。責任をもって、運用が軌道に乗るまで手を引くことはしません。赤字が出ようとも、絶対に最後までやり抜いています。一度仕事を引き受けたお客さまとは常に対等であり、ともに協力して作る。そんな関係でこれまで進めてきましたし、これからもそんな仕事を続けていきたいですね。開発プラットフォームとして採用している FileMaker もプロジェクトに関わる方々と一緒に作り上げていけるソフトウェアになっているので、私たちのスタイルにもあっていると思います。

これまでの経験やノウハウを、若い世代に。

今後は、若い社員に頑張って欲しいです。今までは私がお客さまの前に立って、互いに向き合える関係を築ける方々と仕事をしてきましたが、これからは、これまで培ってきたノウハウを後進に伝えていきたいと思っています。長い経験から編み出してきた問題解決の方法から、人との付き合い方に至るまで。やっぱり信頼関係の中から新しい仕事や、人間関係が生まれてくるはずと私は信じていますから。そういう世界があることを、もっと若い人に知って欲しい。

さらにいうと、一生のなかで働いている時間はとても長いものなので、仕事をお金稼ぎの単なる手段として見るとつまらなくなってしまう時がきます。そうではなくて、働くなかで、自分なりの楽しみ方を見つけて欲しいですね。特に若い頃は少し苦手だな、と感じる人でも一度付き合ってみて、自分の価値観をどんどんアップデートしていく。そうすることで、自分が持っている可能性を枠にはめ込むことなく、大きく成長できるのではないでしょうか。

【編集後記】

ご自身の経験から決めた、会社として引き受ける仕事の基準を楽しそうに語ってくれた中村さん。それは社員の方が、働きやすい環境を形づくる要因の一つにもなっていました。信頼が、新しい人と仕事を連れてくる。

中村さんが大切にしている「互いに信頼関係を築き、正直な関係で向き合う」ということが、長期雇用や離職率ゼロに繋がっているのかもしれません。

パットシステムソリューションズの導入事例のひとつとして、日本電鍍工業の生産管理システムの事例がありますので、是非併せてご覧ください。

また、2020 年 11 月 11 日(水)から始まり、現在オンデマンド配信中のオンラインイベント「Claris Engage Japan 2020」で中村さんのセッションをご視聴いただけます。

下記の中村さんのセッションは、11 月 16 日〜 12 月 15 日まで好きな時間にご視聴いただけます。

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