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21 年間のテレワーク実践知がつまったオンラインセミナーの裏側

ベンチャー企業 150 社が集積する「ソフトピアジャパン(岐阜県大垣市)」に拠点を構える 株式会社ワークスペースは、IT コンサルティングから構築、サポート、トレーニングといったアフターフォローに至るまで、一貫したオンライン化を実現しています。今回お話を伺った代表取締役の岡田匡さんのテレワーク歴は、なんと 21 年。全国的に緊急事態宣言が発令された今回のような状況にもいち早く対応し、通常は対面で実施しているイベントも早い段階からオンラインに切り替えました。オンラインセミナーには、岡田さんがこれまで培った経験が活かされ、様々な工夫がされているそうです。全国から参加者を集めるオンラインセミナーの裏側に迫ります。

21 年間のテレワーク実践者としての知見を社会に役立てたい。

新型コロナウイルスの影響でテレワークの需要が高まっているというニュースを目にし、21 年間テレワークでやってきた自分の知見をなんらかの形で役立てられればと思いました。

テレワークが進まない 1 番の要因はこれまでの仕事のスタイルに慣れすぎているからです。

抵抗感を減らしていくには、代わりになる選択肢を考えることが重要です。これまでと同じ成果を出すために、今できることは何か。これまでと環境が違うから仕事ができない、と立ち止まるのではなく、置き換えられる何かを探していく。

たとえば、ファックスがないと受発注の仕事ができないという方には、オンラインファックスがあります。電話に関しても、転送という選択肢以外にパソコンを使った「ソフトフォン」というサービスが存在します。

そのように環境を変えていけば、少しずつ「パソコンがあればどこでだって仕事ができる」「なんだ、移動しなくてもよかったんだ」という認識に変わっていきます。

私自身も 21 年前、まさにそうでした。その都度、置き換えられるものがないかと考えて実践し、今では月に 1 日程度の出社で済むようになっています。オンラインセミナーは、経験をもとに働き方を変革するのに役立てられそうなシステムやツールについて、お話しする内容になっています。

株式会社ワークスペース 代表取締役 岡田 匡さん

距離を越えて出会えるオンラインの面白さを実感。

セミナーの冒頭では、アイスブレイクとして、クラウド上のカスタム App を利用した自己紹介の時間を設けています。お一人ずつ名前をお呼びして、カスタム App で作成したアンケートの質問項目に答えていただきながら、テキストデータとして入力していきます。お名前、どの都道府県から参加しているか、普段 FileMaker をどんなふうに使っているか。

南は沖縄から北は東北まで、全く違う場所にいる参加者が、全員で同じ自己紹介画面を見ている。そんな不思議な状況がおもしろかったですね。移動することなく情報が伝わっていき共有できる魅力を、その場にいた方々にも体感してもらえたのではないかと思っています。

自粛要請が解除されてからも、オンラインイベントは続けていく予定です。

やはり1 番の魅力は日本全国から参加いただけることですね。こんなに幅広く参加していただいたイベントは過去ありませんでしたし、移動なしでイベントに参加できる点は参加者側にもメリットがありますよね。

オンラインイベントを実施している際の画面

リアルな空気感のあるオンラインイベントをめざして。

オンラインでイベントをこれから始めようという方は、ネットワークや音声・映像・画面共有あたりはトラブルが起きやすいので、主催される際は注意されると良いと思います。

実際にトラブルが起きた時の対策は、事前に講じておいた方が安心です。たとえばアプリが落ちてしまったら、アプリ自体を切り替えられるよう他のアプリをスタンバイしておく。オンラインで会話ができるサービスはたくさん世に出ています。ぱっと切り替える準備をしておくだけで参加者側の安心感も違ってきます。

オンラインイベントを開催してわかった、オフラインとの大きな違いは「距離感」です。

参加者とスピーカーとの間に、リアルな雰囲気がなかなか出にくいなと感じました。参加者側もセミナーに参加しているというより、YouTube を流し見しているような受け身の姿勢になってしまうことがあり、スピーカーが話している内容を聞き流してしまう方もいらっしゃるような印象を受けました。

みなさんが主体的に参加してもらうための試みとして、ハンズオン形式のセミナーにも一度挑戦しました。画面共有しながら、手元で同じように開発をしてもらいながら進めたのですが、やはりオフラインと同じようには行きませんでした。オフラインのセミナーでは円卓を囲み、手を動かすワークをたくさん盛り込んでいます。全く同じことはできませんが、これまでオフラインのセミナーで培った経験、知見を活かし、オンラインでも、もっともっと良いものにはできる可能性を感じています。今まさに改善計画中です。早くリリースできるよう日々、奮闘していますので、楽しみにしていてください。

<編集後記>

状況の変化に合わせて、何ができるかを考え、21 年間にわたりテレワークを実践してきた岡田さん。オンライン化の話の内容にものすごく説得力がありました。環境が大きく変わっても、一度立ち止まってみて、目的は何かに目を向けてみる。手段ではなく、目的に注目することで、やり方さえ変えれば目的は達成できることに気がつく。この繰り返しで様々な変化に対応しながら、どこでも仕事ができる環境を整えてきて、今があるのだなと感じました。インタビューの最後に、読者の方に特にお伝えしたいことはありますかと聞くと、医療従事者の方々へ向けた感謝のコメントをいただきました。こういったコメントや、オンラインイベントをスタートさせたきっかけからも、周りの状況を常に気にかけ、どうすれば人の役に立てるのかを考えている岡田さんの姿勢が伝わってきました。周りに視線を向けて行動に移すことが、環境変化に対して柔軟に対応するコツなのかもしれません。


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