- 1,300 のバラバラのスプレッドシートから 1 つの統合されたフローに移行。現在は内部の発注処理を管理するためのスプレッドシートはゼロに。
- 発注依頼のための E メールは 50% 削減し、残りの 50% は自動化。
- 15 のタブのスプレッドシートから、構造化されたデータの 1 つのテーブルに移行し人事情報を管理。
- 1 回のボタン操作で予算の承認とコミュニケーションを実行。
ベルギー・アントワープ州の Provincial Parks of the Antwerp Region はその地域の 5 つの州立公園を管理しています。ハイキングコースやサイクリングロード、教育センターやふれあい動物園まで、緑豊かで家族連れに人気の施設が揃う公園の運営を、大勢のスタッフがその裏側で支えています。業務は日々のメンテナンスから施設レンタル、一般向けプログラム、財務処理など、多岐にわたります。
少し前までは、ほとんどの作業は E メール、PDF、スプレッドシートといった多くの手作業に頼っていました。
しかし、Claris FileMaker を使って独自の業務アプリを作りはじめてから状況は一変しました。最初はメンテナンス用の 1 つのアプリでしたが、それが「DIGIPARK」と呼ばれるカスタム App 群へと発展し、今では公園運営のほぼすべてを支える存在になっています。
「アイデアをすぐに使える形にできることが大きな違いでした。FileMaker なら開発が何か月もかかることはありません。数日から数週間で、使えるカスタム App ができるのです」と Provincial Parks of the Antwerp Region の管理責任者であるヴェルナー・マリヌス氏は述べています。
メンテナンス用の 1 つのオリジナルアプリから始まった継続的なパートナーシップ
シンプルなレポートツールが必要だと考えたマリヌス氏は、Claris Platinum パートナーの ClickWorks に協力を依頼し、メンテナンス用のカスタムソリューションを一緒に開発することにしました。
ClickWorks が提案したのは、FileMaker を使った QR コード連動型の仕組みでした。遊具やフェンス、自動販売機に貼られた QR コードを iPad で読み取るだけで、不具合をすぐに報告できるようになったのです。その後、カスタム App は進化し、その場で場所を記録して、案件を担当チームや業者に自動で割り当て、さらに修理が完了するまでの進捗も追跡できるようになりました。
「最初のカスタム App の便利さを実感すると、スタッフは『これ、施設の予約にも使えないかな?』『内部の請求業務には?』『イベントにも使える?』と尋ねてくるようになりました」と、ClickWorks の開発者、トーマス・スメッツ氏は説明します。「このようにして、課題を 1 つずつ解決することで、カスタム App 群は成長していったのです」
カスタム App の完全なエコシステム
Provincial Parks of the Antwerp Region のチームは一部のプロジェクトでは開発パートナーと協力してきましたが、マリヌス氏も自身でいくつもの DIGIPARK アプリを発案し、自らシステムを作り上げてきました。こうして FileMaker を使ったソリューションは組織全体へと広がっていきました。現在、DIGIPARK では 14 を超える FileMaker カスタム App が相互に連携し、公園運営を支えています。各カスタム App は実際の業務プロセスに合わせて作られており、オフィスでも現場でもチームの仕事の効率化に寄与しています。
DIGIPARK に含まれるデジタルソリューション:
メンテナンスと問題報告:
- QR コードを使ったインターフェースで、現場スタッフがその場ですぐに不具合を登録
- 作業の自動割り当てと進捗の追跡
- 繰り返し発生する問題の履歴・監査ログを管理
施設レンタル管理:
- 教室、会議室、イベントスペースのデジタルカレンダーと予約システム
- 請求書を自動生成し、適切なチームに承認依頼
- 従来のメールベースでの調整やスプレッドシート管理を置き換え
来場者の把握とインサイト:
- 来訪者カウンターと連携し、リアルタイムで入園者数を確認
- 公園管理チームが活動の成果を示し、予算更新に活用
- ダッシュボードで、管理層がデータに基づいた人員配置や資金判断を可能に
内部物流と請求処理:
- 部署間サービスの内部精算をスムーズに実施
- コスト承認の回付、領収書の記録、財務の透明性をサポート
「新しいものを提供するたびに、次のアイデアが生まれるんです。それこそが FileMaker の素晴らしさであり、ソリューションは常に変化しています」とスメッツ氏は述べています。
「新しいものを提供するたびに、次のアイデアが生まれるんです。それこそが FileMaker の素晴らしさであり、ソリューションは常に変化します」
— Claris Platinum パートナー、ClickWorks 社の開発者、トーマス・スメッツ氏
統合された Claris プラットフォームで実現する地域コミュニティとのエンゲージメント
Provincial Parks of the Antwerp Region のチームが発案した、あるクリエイティブなイベントでは、アジャイル性が際立ちました。
公開イベントにおいて、訪れた家族にふれあい動物園の動物の “名目上の” 里親になる体験を提供しようというものです。このイベントには、デジタルで登録を行う仕組みが必要でした。しかも、アクセスが容易で、迅速に導入でき、来場者に視覚的な楽しさを与えるデジタル体験が求められていました。
開発チームは Claris プラットフォームのツールである Claris Studio を使用して、わずか数日で Web ベースのソリューションを構築しました。
Claris Studio の Web ファーストの開発機能を活用して、チームはあらゆるデバイスから利用できる、モダンでユーザフレンドリーな Web フォームを作成しました。このソリューションでは、申し込み受付や、「里親関係」の追跡を行い、Provincial Parks of the Antwerp Region の FileMaker の内部システムに直接データを連携して、フォローアップやレポート作成にも役立てられています。
「これは私たちにとって初めての Claris Studio を使ったプロジェクトでした。Claris Studio を使用することで、フロントエンド開発者を呼ぶ必要もなく、見栄えが良くスムーズに機能する、高速で洗練された Web インターフェースを構築できました」と、ClickWorks の共同創業者であるヨリス・アーツ氏は振り返ります。
家族連れの来場者が現地で利用するのにぴったりなレスポンシブデザインを備え、バックエンドでは Claris Connect が FileMaker とリアルタイムで同期。スタッフは常に最新の参加データを把握でき、さらにイベント運営用のリストやタグも自動生成され、すべてがクラウド上で安全に管理されました。
マリヌス氏は次のように述べています。「最初はささやかな発想に過ぎなかった『里親企画』ですが、それは今後のイベントのモデルケースとなりました。この仕組みを活用すれば、さまざまな参加型イベントに応用できます」
この Web ベースのソリューションが成功したことで、Claris Studio の持つ可能性が裏付けられ、組織全体で「市民と関わるさまざまな体験」に活用していこうという関心が広がりました。
舞台裏を支えるテクノロジー
独自に開発された一連のカスタム App は、業務に大きな変化をもたらしました。かつては数時間かかっていた手作業のタスクが今ではわずか数分で完了するようになりました。スタッフはメールや紙の報告を待つことなく、リアルタイムのデータをもとに行動できるようになりました。コミュニケーションはよりスピーディに、意思決定はより正確に、そして公共サービスは一層スムーズに提供されています。
Claris FileMaker を活用することで、チームはカスタム App を素早く展開でき、最小限の負担で継続的な改善が可能になっています。さらに、カスタム App には次のような技術的な強みがあります:
- Claris FileMaker Go を使用したマルチデバイス展開
- 場所ごとに異なるワークフローをバーコードと QR コードのスキャンで開始
- 役割に基づいたのアクセス制御で、利用者ごとに最適な機能を表示
- リアルタイムでの業務把握を可能にするダッシュボードや可視化機能
- 既存システムや外部サービスとつながる API 連携
「公園は表向きには穏やかに見えますが、DIGIPARK の裏側ではすべてがより速く、整理され、つながっています。まるで古いタイプライターから iPad に切り替えたような感覚です」とマリヌス氏は述べています。
スタッフも幅広く利用を開始しています。その背景には「使いやすさ」と「継続的なフィードバック」がありました。利用者自身が課題の発見やアプリ設計のプロセスに参加し、素早い改良を重ねることで、それぞれのアプリは現場にぴったり合ったものになっているのです。
継続的なデジタル革新を支えるプラットフォーム
1 つのメンテナンス用アプリから始まった取り組みは、デジタルトランスフォーメーションを実現するための戦略的なプラットフォームになりました。Provincial Parks of the Antwerp Region が実践しているのは、「小さく始め、すぐに成果を出し、うまくいったものを広げていく」というシンプルで堅実な成長のアプローチです。
Claris FileMaker を基盤とし、信頼できる開発パートナーである ClickWorks と共に取り組むことで、単なる公園管理の効率化にとどまらず、スタッフや来場者、そして地域のニーズに合わせて成長できる現代的なデジタル基盤を築いています。
この成功事例は職場の運営の最適化を目指す他の組織に明確な道筋を示しています。Claris プラットフォームは、まず個別の課題に対応し、その後に構築・改善・迅速な展開を繰り返すことで、現場に合わせたソリューションを生み出します。そうしたソリューションはデータから新たな洞察を引き出し、チームの力を高め、最終的には効率やサービスの質を大きく向上させます。アジャイルアプローチは継続的な改善の文化を育み、日々の業務を変革しながら、将来にわたるデジタル革新の土台を築いているのです。